ボスニアのプリヴァ湖:ヤイツェの水車小屋ムリンチチと愛の橋

プリヴァ湖公園は、ボスニア中部で最もよく知られた自然スポットのひとつで、ヤイツェの町から5kmの場所にあります。二つの湖をつなぐ滝の上に古い木造の水車小屋ムリンチチが並び、そのそばには愛の橋と水辺の遊歩道が続いています。

ボスニア・ヤイツェ近郊、プリヴァ湖の滝の上に高床式で並ぶ小さな木造水車小屋
水車小屋ムリンチチ

プリヴァ湖とは

プリヴァ湖は、ボスニア中部を流れるプリヴァ川にある二つの湖、大プリヴァ湖(Veliko Plivsko jezero)と小プリヴァ湖(Malo Plivsko jezero)のことです。ヤイツェの町から5kmの場所にあります。ヤイツェは中世ボスニア王国の首都だった町で、町の中心に落差22メートルの滝があることで有名です。多くの旅行者は滝と要塞を目当てにヤイツェへ来て、湖は「時間があれば」と後回しにしがちですが、私はそれはもったいないと思います。いちばん面白いのはここなのです。

湖の周りの公園は無料で、いつでも入れます。木道を散歩したり、指定された場所で泳いだり、ボートやペダルボートを借りたり、水辺のカフェでのんびりしたり。でも、ここに来る一番の理由はやはり水車小屋です。

水車小屋ムリンチチ

小プリヴァ湖と大プリヴァ湖の間の段差で、川は何十もの流れと小さな滝に分かれます。そしてその滝の上に、木の杭に支えられた板屋根の小さな丸太小屋が並んでいます。これが水車小屋、ボスニア語でムリンチチ(mlinčići)、「小さな水車」という意味です。ひとつひとつは庭の物置ほどの大きさしかありません。

ヤイツェ近郊、滝と緑の丘に囲まれたプリヴァの水車小屋群のパノラマ
水車小屋群の全景

これは観光用の飾りではなく、本物の歴史遺産です。プリヴァ川の水車は中世から知られており、1562年のオスマン帝国の検地では24棟、17世紀には26棟が記録されています。小屋はオーク材で建てられ、それぞれ地主の所有で、近隣の村の農民に貸し出されていました。製粉の代金は小麦粉で支払われたそうです。ここでは第二次世界大戦の頃まで実際に穀物を挽いていました。2009年、この水車小屋群はボスニア・ヘルツェゴビナの国家記念物に指定されました。

小屋の真下を流れる水

小屋の中には入れません。すべて閉まっています。その代わり、小屋の間には木の橋板が渡してあり、水車小屋群をぐるりと一周できます。足元のすぐ下を水が勢いよく流れていきます。屋根がツタで覆われた小屋もあれば、杭が傾いた小屋もありますが、この急流の上で何百年も建ち続けているのです。

水車小屋の近景

愛の橋

水車小屋のそばには、流れをまたぐ木の橋、愛の橋(Most ljubavi)が架かっています。手すりの付いた長くカーブした木道で、滝の真上を通ります。片側には滝、もう片側には静かな湖面。ロマンチックな場所とされていて、カップルが散歩に訪れます。

愛の橋

雨のあとは板が濡れて滑りやすいので、手すりにつかまって歩いてください。

プリヴァ川沿い、緑の森の中をカーブして続く木道
岸沿いの木道

湖畔の散歩

橋と水車小屋から、木道や小径が湖の岸沿いに延びています。大プリヴァ湖は長さ2km近くあり、岸には木陰の道が続き、ベンチやカフェが数軒あります。夏はここで泳いだりボートに乗ったりでき、湖畔にはキャンプ場もあります。

ヤイツェ近郊、高い木々と静かな水面が広がるプリヴァ湖の岸辺
大プリヴァ湖の岸辺

ちょっとした豆知識:1899年、ヤイツェのプリヴァ川ではバルカン半島で最初期の水力発電所が稼働しました。観光客が来るずっと前から、人々はこの川の力を利用していたのです。

実用情報

  • 何が見られるか: プリヴァ湖公園(Pliva Lake Park)— プリヴァ湖、水車小屋ムリンチチ、愛の橋
  • 場所: ヤイツェから西へ5km、ビハチ方面の道路沿い
  • GPS: 44.3474, 17.2286
  • 入場料: 無料、24時間開放
  • ヤイツェからの行き方: 車またはタクシーで10分(5〜10KM/約3〜5ユーロ、約500〜850円)。徒歩なら川沿いの平坦な道を約90分
  • 所要時間: 水車小屋と橋だけなら1〜2時間、湖水浴や湖畔でのランチも楽しむなら半日
  • 周辺の見どころ: ヤイツェ中心部の滝(展望台10KM/約5ユーロ、約850円)、要塞(5KM/約2.5ユーロ、約430円)
  • Google Maps: Pliva lake park

旅のヒント

  • できれば平日に。週末や祝日は地元の人の行楽地として水車小屋の周りがにぎわいます。
  • 靴は滑りにくいものを。雨のあとは木道や橋板が濡れています。
  • ボスニアの通貨は兌換マルク(KM/BAM)で、ユーロに固定レートで連動しています(1ユーロ≒1.96KM)。湖畔のカフェでは現金があると便利です。
  • ヤイツェの観光と組み合わせるのがおすすめ。滝、要塞、旧市街でさらに半日楽しめます。サラエボとビハチの間の移動途中に立ち寄るのにちょうどいい場所です。
  • 夏は水着を持って行きましょう。大プリヴァ湖には遊泳できる場所があり、水はきれいです。

FAQ

ヤイツェからプリヴァ湖への行き方は?

湖は町から西へ5km、ビハチ方面の道路沿いにあります。車またはタクシーで約10分(タクシーは5〜10KM/約3〜5ユーロ)。徒歩ならプリヴァ川沿いの平坦な道を約90分です。

プリヴァ湖公園の入場料はいくらですか?

入場は無料です。公園は24時間開放されていて、チケット売り場もありません。お金がかかるのはボートのレンタル、カフェ、キャンプ場だけです。

水車小屋ムリンチチとは何ですか?

16〜17世紀に建てられた20棟あまりの小さな木造水車小屋群で、二つのプリヴァ湖の間の滝の上に建っています。第二次世界大戦の頃まで実際に穀物を挽いていました。2009年からボスニア・ヘルツェゴビナの国家記念物です。

水車小屋の中に入れますか?

いいえ、小屋は閉まっています。ただし小屋の間には木の橋板が渡してあり、群全体を歩いて回りながら間近に見学できます。

見学にはどのくらい時間がかかりますか?

水車小屋と愛の橋だけなら1〜2時間で十分です。湖で泳いだり、ボートを借りたり、湖畔のカフェで食事もするなら半日みておきましょう。

プリヴァ湖のベストシーズンはいつですか?

晩春から初秋まで。緑が美しく、カフェやボートのレンタルが営業していて、湖水浴もできます。平日は週末よりずっと静かです。雨のあとは滝の水量が増えて、水車小屋がいちばん絵になります。

湖のためだけにヤイツェへ行く価値はありますか?

あります。特にサラエボとビハチの間を移動するなら。1日で町の中心の滝、中世の要塞、湖の水車小屋を全部見られます。これほどコンパクトに見どころがまとまった場所は、ボスニアでも多くありません。

おわりに

プリヴァの水車小屋は、「リストに沿って見て回る」必要のない場所です。来て、橋板を歩いて、水辺に座る。それだけで十分。ヤイツェを通るなら、この5kmの寄り道をぜひ。有名な観光ルートに疲れたとき、また戻りたくなる場所のひとつです。

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